上村聡史芸術監督のシーズンオープニング作品として、ミハイル・ブルガーコフ原作の『巨匠とマルガリータ』を、上村自身の演出により上演いたします。 『巨匠とマルガリータ』は、1929年〜40年にかけてブルガーコフにより執筆された小説です。当時はソ連当局によって体制批判とみなされ、検閲版としてようやく出版にこぎつけたのは作家の死後26年が経った66年、さらに完全版が出版されたのは73年となります。幻想と現実、そして時代を巡り、人間の善悪や愛、芸術の不滅性を奇想天外に描いたこの作品は、その後映画、テレビドラマ、舞台化もされ、今日では20世紀文学の最高傑作と呼ばれるに至ります。 本企画では英国のナショナル・シアターや王立演劇学校(RADA)で活躍したエドワード・ケンプにより、主人公である「巨匠」を小説家から劇作家に翻案した戯曲版(2004年初演)にて上演いたします。上村がブルガーコフ作品の演出を手掛けるのは、 第32回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞した、2024年上演の『白衛軍 The White Guard』に次いで二度目となります。
Story ものがたり 舞台は1930年代のモスクワ。文学界は官僚主義と検閲にがんじがらめ。そんな中、劇作家である、通称「巨匠」は、キリストの処刑を決めたローマ総督・ピラトを題材にした野心的な作品を書き上げる。しかし、その作品は体制に受け入れられず、激しい批判にさらされ、絶望の淵に突き落とされた結果、彼は自分の原稿を焼き払い、精神病院へと姿を消してしまう。一方、巨匠には愛する女性、マルガリータがいた。彼女は美しく聡明で、巨匠の才能を誰よりも信じていた。巨匠がいなくなり、絶望的な日々を送るマルガリータの前に、突如として奇妙な外国人ヴォランドとその取り巻きたちが現れる。ヴォランドはモスクワの街で様々な騒動を引き起こしながら、市民たちの本性を試そうとしていた。マルガリータは、唯一の願い"愛する巨匠と再び会うこと"を叶えてもらうためにヴォランドの取引に応じる。ヴォランドの目的、巨匠の運命、そしてマルガリータの愛の行方は一体どうなるのか?モスクワの日常と幻想的な世界が交錯する中で、人間の善と悪、愛と信仰、そして芸術の真価を深く問いかける壮大な物語。