輝かしい時を経て、やがて芸術になる 2004年2月29日、ヒャンアン(ソニン)は最期の瞬間に自分の人生を振り返るように手帳を一枚ずつ、一枚ずつ遡る。2004年の記憶から時間はさかのぼり、1936年、自由奔放な詩人イ・サン(相葉裕樹)とナンランパーラーで初めて会った時から、トンリム(山口乃々華)としての時間が順番に流れ始める。 最初の夫となったイ・サンの死後、もう芸術家を愛することはないと思っていたトンリムの前に現れた画家ファンギ(古屋敬多)。静かで控えめなファンギと手紙をかわすうちに少しずつ心が解け、苦しい思いをしてしまうかもしれない瞬間にも、勇気ある選択をしていくトンリムを見ながら、ヒャンアンは自分の人生の岐路に起こったことが、結局、自分を光輝かせてくれていたと気付く。 Les gens partent mais l’art reste ─ 人は去っても芸術は残る。 イ・サンと共にした、そしてファンギと共にするすべての瞬間を経て、やがてヒャンアンは自分自身が芸術になったことを悟る。